ときどき聞かれます。院長は角田なのに、どうして医院は「まつしろ」なんですか、と。
角田を、何と読むか
私の姓は角田と書きます。これが、読めない。かくた、かどた、つのだ、すみた。全部実在する読み方で、どれが正解かは本人に聞くしかありません。だいたい「つのださん」と呼ばれます。「かくたです」と訂正する。翌週また「つのださん」。学校でも、職場でも、電話でも、何十年もこれをやってきました。
開業するとき、医院の名前をどうするか考えました。歯科医院は、院長の姓をつけるのが普通です。でも「角田歯科」と看板を出したら、電話を取るたびに「つのだ歯科さんですか」「かくたです」を、医院がある限り一生続けることになる。それは嫌だ、と思いました。医院の名前は、一日に何十回も呼ばれるものです。読み間違えられない名前にしよう。それが出発点でした。
松代橋
当院のそばに、横十間川に架かる松代橋という橋があります。なぜ松代なのか。橋の錦糸町側が、かつて「本所松代町」という町だったからです。その町名は、江戸時代にそこへ松代藩真田家の下屋敷があったことに由来します。信州の松代が、本所の町名になり、町名は消えて、橋の名前にだけ残った。
消えた町の名前を、川のこちら側で借りることにしました。地元に根があって、誰も読み間違えない。
漢字をやめた
「松代歯科」だと、少し固い。平仮名にして「まつしろ」と書いてみました。
書いてから、気がつきました。これ、「まっしろ」とも読めるじゃないか。
読み間違えられるのが嫌で、自分の姓を看板から外したのに、最後に決め手になったのは、読み間違えてもらえる名前でした。ただし間違え方が「まっしろ」。歯医者にとって、これ以上縁起のいい誤読はありません。これしかない、と決めました。
というわけで
院長は角田です。かくた、と読みます。医院は、まつしろ歯科クリニックです。まっしろ、と読んでいただいても、こちらはまったく構いません。
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